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東映 多田憲之代表取締役社長 大幅な役員人事“任せられると判断”

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東映 多田憲之代表取締役社長 大幅な役員人事“任せられると判断”

2016年08月24日

多田憲之社長.jpg


 東映は、6月29日付で新任3名、退任4名の大幅な役員人事を発令した。また、それに先がけて元ディズニーのセールス エグゼクティブ・ディレクターである木村光仁氏の入社(6月1日付)も発表した。業界内でも注目の大きいこれらの人の動きは、今後の東映の方向性にどう影響してくるのか。

 就任から2年が過ぎた多田憲之代表取締役社長(=写真)に、今回の人事異動の意図をはじめ、劇場営業や映画製作の在り方、銀座の本社ビルの再開発などについて聞いた――。



あっという間の2年間

――社長に就任されてから2年経ちましたが、まずは率直な感想を伺えますか。

多田 あっという間の2年間という印象です。映画部門でも配給宣伝を中心にやってきただけに、会社の事業が多岐にわたり、それを体感し、勉強することの2年間であったような気がします。
 あと、業界の流れが早いなというイメージがあります。例えば「配信」というビジネスモデルが出てくれば、各社が一斉にそこに参入するので、その時に東映がどう対応するのか。新たなビジネスモデルが出てきた時に、既存のモデルにどう影響するのかも考えなければいけません。

――御社の場合、配信への対応は早く、成功しているイメージです。

多田 その通りですが、一方で、ビデオへの影響も考えないと。まだ大きな変化は感じていませんが、新しいビジネスが臨界点に達した場合、急激に既存のものが崩れるケースがあります。例えば、映画業界は昭和33年(1958年)までは動員数が伸びていました。その時すでにテレビがあったにもかかわらず。でも、所得水準が上がり、一般の家庭でもテレビが普及すると、映画館への動員は雪崩をうってダメになりました。そのことを業界は経験しているので、慎重に見極めないといけません。

――多田さんの私的なところでは、2年前から変化がありましたか。ちょうど2年前の2014年8月号でインタビューさせてもらった際は、奥さんや娘さんと映画館に行っているというお話もありました。社長になられて、観る本数が増えたとか。

多田 観る本数は同じくらいだと思います。今も女房と娘と行ったりしていますよ。家族と行く時は、自分に作品の選択権がないのです(笑)。娘に合わせて観ますから、その意味では、一観客になれます。

――奥さんや娘さんの意見をビジネスの参考にすることはありますか。

多田 あります。娘も息子も、よく映画の情報を知っているのですよ。そんなに本数を観ているわけじゃないのに、映画情報だけはきっちりチェックしている。「映画館に足を運んでよ」と思うのですが(笑)。映画のことは、音楽やゲームと同じジャンルの情報として持っているのです。友達との会話の中で必要なことなのかなと思っています。

――企画に反映するようなことは。

多田 それはありませんが、検討している企画について、「これはどう思うか」という話を聞いて、「今の時代にあうのか」とか「いいね」という感想は聞くことはあります。


任せられると判断

――さて、6月29日に株主総会があり、大幅な役員人事がありました。4人が退任し、新たに3人が就任。その意図は何でしょうか。若返りということですか。

多田 それも一つですが、それだけではありません。若い連中が全くダメなら、そういう判断はできませんから。彼らとディスカッションしていると、きちっと勉強しているな、実績あげているなと感じ、任せられると思ったので判断しました。新しい世代につなげていかなければ、会社が活性化しませんから。

――新任の3人は、それぞれこれまで所属していた部署の担当役員になりました。人材が育っているということですね。

多田 そう思っています。こういう商売ですから、部署を変えてしまえば、持っている経験、人脈を一度ご破算にするということになります。例えば、常務に昇任したテレビ事業部門担当の手塚(治)にしても、テレビ一筋で人脈を作ってきて、視聴率もとっているわけですから、あえて変える必要はありません。

――退任された役員の中では、鈴木(武幸)専務が、顧問を兼ねてテレビ事業部門エグゼクティブ・プロデューサーに就任しました。どのような役割なのですか。

多田 鈴木は、「スーパー戦隊」をはじめとしたキャラクターコンテンツものの大立者ですよ。初期から立ち上げた人で、対外的にも顔は広く、まだ71歳ですから、これからも知恵をお借りしたいなということです。


続きは、文化通信ジャーナル8月号に掲載。


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