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歌は世につれ世は歌につれ…
旧態依然の制作から脱却した「紅白」

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歌は世につれ世は歌につれ…
旧態依然の制作から脱却した「紅白」

2014年12月17日

 大晦日恒例「第65回NHK紅白歌合戦」まで2週間を切った。司会者、出場者も決まり、各メディアの注目はサプライズがあるのか、ないかである。

 サザンオールスターズは? 

 中森明菜は?

 もっとも、今年の代表曲と言ったら松たか子の歌ったディズニー映画「アナと雪の女王」の挿入歌「Let It Go〜ありのままで〜」(日本語版主題歌はMay J.)ぐらい。しかし、肝心の松たか子は「紅白」に出てこないと言うから、だったら?

 内定しているのは映画のオリジナル版で王女エルサ役を演じた米国人女優で歌手のイディナ・メンゼル。「紅白」には、衛星中継で歌うことが進行しているとも。だとしたら、ある意味でこれもサプライズになるのかも…。

 それにしても、「紅白」も1年を振り返る国民的番組ではなくなったと言ってもいいかもしれない。

 いつの頃だったろう。「歌は世につれ世は歌につれ」と言われていた時代もあった。

 歌は、常に、時代時代の生活や世相、あり様などに影響を受けてきた。テレビドラマやCMとのタイアップ曲がヒットに結びついてきたのも、そういった部分があったのかもしれない。そして「紅白」は、その年を反映したものとなってきた。

 そういった意味からすると、2013年は「あまちゃん」(NHK朝の連続テレビ小説)で、今年――2014年は「アナと雪の女王」となる。振り返れば、みんなが「Let It Go」を歌っていた…。だからだろうか、今年の「紅白」のテーマは「歌おう。おおみそかは全員参加で」。

 しかし、その時点で「紅白歌合戦」という基本コンセプトは消え去ってしまっている。

 だからと言うわけでもないだろうけどジャニーズから6組、AKBからは4組、さらにEXILE関連からも3組が出場…誰から見ても出場者が偏り過ぎと思うに違いない。

 いつもながら「紅白」のキーワードは “刷新” だと言う。制作スタッフを若返らせ旧態依然の番組づくりから脱し、独自色を濃く出す――これが基本的な考えらしいが、では「紅白」が「歌合戦」としてどんな風に刷新されるのだろうか? 気になるところだ。

 もう一つ。アーティストや歌に好き好きはあるにしても、ヒットがないという理由で浜崎あゆみを落選させ、さらにaikoやDREAMS COME TRUE、ゆず、コブクロらも切り捨てた。その一方で歌手でもなく、新曲を出した形跡もない薬師丸ひろ子が堂々と入り、さらにT.M.Revolution、美輪明宏…。

 確かに「紅白」と言っても、所詮はNHKの番組の一つに過ぎない。単に「年末に放送している恒例番組」だと言ってしまえばそれまでだが、だとしても、この人選は不可解だと思う人も多いに違いない。しかも、旧態依然の番組から脱することから「演歌歌手が減る」と一部からは噂されてはいたが、何てことはない。大物で出場しないのは、昨年の「紅白」で卒業宣言した北島三郎ぐらいだった。

 まあ、総選挙で圧勝して何でもありの政権と一緒。そういった意味じゃ、世相を十分に反映した「紅白」だってことにもなる。

 「どうでもいい」と思いつつも、ついつい文句を言いたくなるのが「紅白」である。実は、これが「紅白」の大きなスキルかもしれない。それに目立った活動もなく、大したヒット曲がなくても、この時期になると湧き出てきて出場出来るかどうかで一喜一憂するのも「紅白」だ。まさに「腐っても鯛」のようなもだ。

 昨年の「紅白」の視聴率は、関東地区で前年を2.0ポイントも上回る44.5%という高視聴率だった。

 …そして2014年の “歌い納め” の “大トリ” は松田聖子で「あなたに逢いたくて」だという。

(渡邉裕二)

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