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CD総売り上げ3500億円。音楽プロデューサー50周年を迎えた酒井政利さん秘話

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CD総売り上げ3500億円。音楽プロデューサー50周年を迎えた酒井政利さん秘話

2010年10月20日
 日本のレコード産業が100周年を迎えた10月1日、音楽プロデューサーとして知られる酒井政利さんも50周年を迎えた。

 酒井さんは「日本のレコード産業がスタートして100年。その中で半分の50年もレコード産業に携わってくることが出来た。日本のレコード産業の一翼を担っていくことが出来たことは自分にとっても大きな誇り」と感慨深げに語っていた。

 かつては「不況に強い」と言われ続けてきたレコード産業も今や「斜陽産業」に数えられるほどとなった。しかし、だからといって諦めてしまってはいけない。今のレコード産業は、新たな活路を求めるためにも今こそ酒井さんから学ぶべきことが多いはずだ。

 酒井さんは、巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄氏とは立教大学で同期だった。大学を卒業後、一旦は映画会社の「松竹」に入社したが、60年10月に日本コロムビアに移り音楽制作人生がスタートした。

 一番最初に担当したのはホリプロの社長も務めたことがある歌手の守屋浩だった。その後、担当したのが青山和子。酒井さんが作品を見つけ出し映像と音楽の融合としてプロデュースした「愛と死をみつめて」は青山和子が歌い日本レコード大賞を受賞した。

 67年、ソニーがCBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)を設立したのに伴い、同社にヘッドハンティングされ、我が国でのJ-POP第1号とも呼ばれるフォーリーブスをデビューさせた。その後、南沙織と郷ひろみを手掛け、「アイドル路線」を築き、山口百恵やキャンディーズ、宮沢りえなど多くのアイドルを生んできた。

 50年の音楽プロデュース生活で手掛けてきたアーティストは300組を超え、その総売り上げは3500億円とも言われる。文字通りのヒット・メーカーである。

 その酒井さんの音楽プロデュース手法で、あるエピソードがある。

 77年のことだった。広告代理店「電通」の企画で、作詞家の阿久悠さんやデザイナーの横尾忠則氏らとイースター島に旅行したことがあったという。1か月半にも及ぶ長期旅行だったそうだが、この旅行から、阿久さんの「UFO」(ピンクレディー)が生まれ、酒井さんからは「異邦人」(久保田早紀)、「魅せられて」(ジュディ―・オング)、「時間よとまれ」(矢沢永吉)、「いい日旅立ち」(山口百恵)の4部作が誕生したのだという。

 わが国のレコード産業が100年を迎えた中で、何故か「ハウスプロデューサー」と呼ばれる人は少なくなった。それも時代というべきなのか? だとしたら、やや寂しさを感じる。だが、そんな時代に逆らうかのように?未だに頑張っている、まさに“元祖ハウスプロデューサー”とも言うべき酒井さんは「素晴しい」の一言だろう。その酒井さん、来年の夏の発売を目指して新たなプロデュース作品に取り組んでいる。
(渡邉裕二)

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