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たかがレコード産業、されどレコード産業…

社長・芸能音楽デスクコラム

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たかがレコード産業、されどレコード産業…

2010年10月01日
 レコード産業はかつてない苦境に立たされている。

 音楽ソフトは11年連続前年割れだ。CDの低迷は言うまでもないが、一時好調だったDVDも今や落ち込みが激しい。

 頼みは「音楽配信」だった。「着うた」「着うたフル」が飛躍的に伸びたおかげで、音楽ソフトの下落を何とかカバーしてきた。

 しかし、その音楽配信も、ここ1~2年は頭打ち状態。

 そんな時に、今年8月までに「音楽ギフト・カード」が廃止され、東京・渋谷のド真ん中にあったレコード・ショップ「HMV」までが撤退…。何か、レコード業界の周辺までガタガタ。イメージが悪い。これじゃ、テンションも下がってしまう…。

 「やっぱり、いい音楽を作るしかないよね」。

 って言うけど、これじゃ、いい音楽なんて生まれてこない。とにかく環境が悪すぎる。

 これは、価値観の問題かもしれないが、明らかに音楽のクオリティーは落ちている。作り手のクオリティーが低いのは、やはりユーザーのクオリティーが低下したからだろう。ユーザーが賢くなければ作り手だって成長しない。

 しかし、そのユーザーが「無気力」なのだ。まだ一部なのだが、若者たちの中にはJ-POPから、K-POPに流れてしまっている。もちろん音楽は個人の趣味嗜好の問題だから、何を聴こうと悪いことではないが、何か空しさを感じる。

 「聴きたい音楽がなくなった」と言う。正直言って自分も、そう思うようになった。

 聴きたい音楽どころか、コンサートにも行ってみたいと思うようなアーティストが少なくなった。そうそうカラオケに行っても、歌える曲――歌ってみたい曲も少なくなった。

 年齢の問題かな…なんて思ったりもしたが、冷静に考えると、そうでもなさそうだ。魅力のあるアーティストが少なくなったことはひしひしと実感する。どうしたらいいのか!?

 音楽が生活の中から消えることはないとは思うけど、少なくとも音楽と共にあったはずのライフスタイルは大きく変化していくに違いない。

 たかがレコード産業、されどレコード産業…である。
(渡邉裕二)

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