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トップインタビュー:豊島雅郎アスミック・エース エンタテインメント代表取締役社長

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トップインタビュー:豊島雅郎アスミック・エース エンタテインメント代表取締役社長

2007年06月12日
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 去る3月22日、アスミック・エース エンタテインメント(アスミックA)が、2007年~2008年のラインナップを発表した。
 親会社の住友商事・代表取締役/常務執行役員の吉井伸吾氏は挨拶で、「親は金を出すけど、口は出さない。ただ、こういう関係は間違いなく子供が非行に走ってしまう(笑)。非行に走らないように引き続き、相談役の原(正人)さん、会長の椎名(保)さんには目を光らせて頂いて、ご指導をお願いしている」とユーモアを交えて語ったが、両社の関係がいいバランスを保っていることを窺わせた。
 5つのレーベル作品紹介に続いて、アスミックAの6人のプロデューサーが登壇、ラインナップ発表会初の試みとなる「企画プレゼンテーション」を行い、「もっと作品作りに力を入れていく!」(豊島社長)ことをアピール。
 「人を感動させる!」を理念に、豊島社長率いる新生アスミックAは、いったいどのような更なる進化を遂げようとしているのか。具体的な戦略、将来像を聞いた―。


信頼は最大の束縛?



―昨年6月の社長就任から約10ヵ月が経ちましたが、ここまでの率直な感想を聞かせて下さい。

豊島 製作面では原さん、製作以外のことは椎名現会長が主にやってきたことが土台になっています。私はどちらかというと映画の製作・配給・宣伝以外のパッケージの方をメインでやっていたので、なんとなくお二人の遺産でこの半年間はやってきたという感じです。お蔭様で07年3月期決算の業績も良く、売上は100億円を超えて、売上総利益は15億円弱くらい、営業利益は3億5千万円ほど上げられる見通し(4月中旬現在)になっています。

―それでも豊島さんなりに新たに取り組まれていることがあると思うのですが。

豊島 3月のラインナップ発表の時に言いましたが、まずは「考え・創り・行動する」集団ということを掲げました。以前の我々は輸入・配給に頼っていたようなところがあったのですが、それだけでなく、映画の製作なり、映画以外のコンテンツも自分たちの努力で増やしていくということは、益々やっていきたい。もちろん映画の輸入・配給をやめるわけではなく、バランスよく、作る事に関わっていくということです。その雰囲気作りは出来てきているかなと思っています。
 また、それに向けて外部からプロデューサーにも来てもらいました。もう少しアスミックAにいなかったタイプの人材もこれから増やしていきたい。みんなが同じ方向性だけではなくて、いろんなタイプの映画プロデューサー、嗜好性の違う、今いるプロデューサー陣とはまた違うフィールドで活躍していた人などが入り、それがお互いに刺激に、いい化学反応、カンフル剤にはなっていけばと思っています。

―昨年3月に住友商事の子会社になりましたが、そのことによる効果は出始めていますか。

豊島 当社は非上場企業ですが、住商もある水準の成長性というものを求めてはいます。住商が目指している、彼らのケーブルテレビとかユナイテッド・シネマといったインフラの部分をもっと活用して欲しいということは、当然と言えば当然のことで、色々と提案して下さるので、我々としてもそれはマイナスではなく、前向きなことであると受け止めています。今のところ、お蔭様で業績が順調なこともあり、それほど数字でなく、シナジーに向けた前向きな提案が多いですね。住商が他の商社と違って、メディア関係で生き残っているのも、こういう地に足ついた感じでやっているからではないでしょうか。ですからその辺で、アスミックAとうまくバランスがとれているのではないかと思います。でも、2年連続赤字なんていったら、そうはいきませんよね。

―他社とのコラボレーションはますます増えてくるのでしょうか。

豊島 他のパートナーさんも皆さん邦画に関しては一緒にやってもいいと仰って頂けるようになりました。まだ、テレビのキー局さんは厳しいんですけども、キー局以外のテレビ局さんは一緒にやってもいいよと言ってくださる方は増えていまして、邦画製作に関してはいい環境になっていると思います。我々は、基本的には出資金をリクープ(回収)することが100%ではないんですが、かなりの確率で各出資社の方々に元本はお戻しすることができるような形ではやれています。タイトルにすると8割くらいで、儲かって出資金の数倍返しなんていうのも一部の作品でありますので、トータルでは預かったお金よりもお戻しした金額の方が多いと思います。

―そういった実績が信頼につながっていますよね。

豊島 「信頼は最大の束縛」と言われることもあります(笑)。我々もコケさしてはいけないと思って、それが微妙に企画を面白くなくさせている部分も、もしかしたらあるかもしれない。極論を言えば100%自分たちの企画で、これに賭けたいと、出資者も集まらないかもしれないけど、絶対に今やるべきだというようなものもあってもいいのかもしれません。でも、椎名会長が社長の時にも言っていたのは、リスクマネーの50%を他社さんで集められないような企画は、やはり当たりもしないのではないかというのは一理あると思います。ただ、今はもう50%以上が他社さんのお金で集まってしまうような、ありがたい現状もあるので、それに甘えてしまって、またちょっと企画がコンサバ(保守的)になったりしてはいけないと思います。そういう意味でも50:50みたいな感じで出来ればいいと思っているのが本音ですね。


“顔”が見える製作へ


―この春は「さくらん」が予想以上にヒットし、今後もアスミックAらしい邦画が控えていると思うのですが。

豊島 「しゃべれども しゃべれども」「天然コケッコー」「クワイエットルームにようこそ」と続きますが、たまたまクリエイターさんとも、この時期でないと撮影できないとかいろんなタイミングがあったので、3つともサイズ的に1億円台中盤の製作費です。昨年でいうと「間宮兄弟」(5月公開)とかウチらしい展開をしました。「さくらん」はバジェット的には2億円を超えていますが、見え方としては同じようなものです。これから出る3本も結果を出していかなければいけないのですが、みんなある程度、自分たちが見たいという映画を作っているという自負はあるので、あとはいかに、特に映画好きな人たちに一目置いて頂けるようなブッキングであったり、宣伝の手法が出来るかというのが勝負。そこがウチの真骨頂というか持ち味だと思っていますので、頑張って、それぞれ興収3~5億円のレンジを目指しています。「さくらん」も5億円を目指していたものが、お蔭様で7~8億円という感じになりました。

―ラインナップ発表会での企画プレゼンは、かなりのインパクトがありましたね。

豊島 より作っていくんだというのをアピールしたかったのと、もう一つは、執行役員の小川(真司)あたりは顔は売れているんですが、アスミックAの製作はあまり顔が見えない、それ以外のプロデューサーの顔が見えないと言われる方もいたので、人を売り出したいというのもあったんです。もちろん各企画は権利もクリアしていて、ある程度勝算があって出しているものです。
 また、外部のクリエイターの方やプロダクション業務に関わっている方も、ウチのプロデューサー陣にどんどん声をかけて頂いて、一緒にやるにはどうしたらいいのかという、その辺も広くアピールする狙いもありました。ウチは劇場を持っているわけでもないですし、そういう意味ではウチのプロデューサーを表に出して、この人たちにいろんな企画を持ってきて下さいと。いま調整チームというのがあって、そこが持ち込み企画の窓口をしているんですが、もう少し突っ込んでプロデューサーも表に出して彼らの人柄に惚れてもらったら、その人と一緒にやって下さいという思いも込めました。


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