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インタビュー:映画「ハチミツとクローバー」のプロデューサー
小川真司・アスミック・エース エン

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インタビュー:映画「ハチミツとクローバー」のプロデューサー
小川真司・アスミック・エース エンタテインメント(株)
執行役員/映画製作グループ統括

2006年07月21日
片想いの恋愛を核にした青春映画に行き着く
  このキャストが揃った時点で半分出来たと確信
  恋する感情の原点を体験できるところが見所アスミック・エース配給「ハチミツとクローバー」(製作:アスミック・エース エンタテインメント+集英社+ジェイ・ストーム+電通/プロダクション:アスミック・エース エンタテインメント+電通テック)が7月22日(土)よりシネマライズ、新宿ジョイシネマ3、池袋シネマサンシャイン他にて大ヒット公開中だ。本作のプロデューサーを務めた同社執行役員・映画製作グループ統括の小川真司氏に製作秘話を聞いた――。

■片想いの恋愛を核にした青春映画に行き着く

――アニメ化の段階から実写映画化も想定していたのですか。

「両方やって相乗効果を仕掛けたい」というのが企画した豊島(雅郎・新社長)の狙いでした。マーケティング的には、少女漫画の原作ものは難しいのですが、うちとフジテレビさんが深夜の「ノイタミナ」という枠で、新しいアニメに挑戦しようと、あえて少女漫画にしました。結果的に、DVDが全9巻で累計22万枚のヒットとなりました。

――人気CMを手掛けてきた高田雅博監督を起用した理由は。

本作で劇場映画プロデューサーデビューした当社の今村(景子)が高田監督を口説いたんです。僕は、「ピンポン」「恋の門」「真夜中の弥次さん喜多さん」と漫画原作=新人監督という作品を手掛けてきているので、後から参加した形です。

――脚本作りに相当苦労されたそうですが。

30稿くらい練りました。原作は、例えば「NANA」のようなライブシーンもなければ、派手な事件も起こらないし、人が死んだりもしないので、そういう原作特有の世界観をどういう風に映画化するかで苦労しました。河原(雅彦)さんが書いて、高田監督が直すという繰り返し。でも、最終的には原作者の羽海野(チカ)さんがOKしてくれました。実は先生から最初に伺った原作の物語は、映画化し辛い結末だったのです。

――どう映画的な脚本に仕上げたのですか。

原作はギャグ漫画でもあるのですが、どちらかと言うと、片想いの恋愛の楽しい部分と苦しい部分を核にした青春映画なんだというところに行き着きました。でも主人公たちが大人になっていくという意味での結末は一緒です。

■このキャストが揃った時点で半分出来たと確信

――それにしてもよくこのキャスト(主演:櫻井翔、蒼井優、伊勢谷友介、加瀬亮、関めぐみ)が揃いましたね。

誰ならば漫画のイメージを壊さずにやれるか凄く悩みました。原作の“テイスト”というのが拠り所になっているんですが、それがテイストでしかないんですよ。原作のストーリーとかキャラクターをそのまま実写化できれば、また監督がベテランだったらある程度判断できるですけど、どう料理するかゼロからでしたし、メインが5人いるキャスティングは大変でした。でも、このキャストが揃った時点で半分は出来たと確信しましたね。

――CMで高田監督とよく組んでいるスタッフとの仕事はどうでしたか。

高田監督が電通テックの多田(真穂)プロデューサーとやらせてもらえるならということだったので、監督のテイストを生かすためには必要でした。完成して、その「ハチクロ」の“テイスト”が上手く映画化できたと思っています。今村(景子プロデューサー)が高田監督起用を提案した理由でもあるのですが、高田監督の持っているテイストが「ハチクロ」の世界観にぴったりだったということ。美術とか衣装とか細かなところまで。また、他の監督には本作で見せる5人の表情は撮れないのではないでしょうか。高田監督の次回作はさらに凄いものになる可能性を感じます。

――それから参加アーティストも豪華ですよね。

やはり「ハチクロ」だから揃ったんだと思います。(スピッツとスガシカオのアルバムを聞いてタイトルが決まった)原作の成り立ちも理解してもらっていて、既にアニメでスガさん(映画エンディングテーマ「アオゾラペダル」作詞・作曲/歌:嵐)もスピッツさん(映画主題歌「魔法のコトバ」)も既成の楽曲を使わせてもらっていたので、あとはタイミングが合うかどうかでした。菅野よう子さん(音楽)も凄い原作が好きで、自分以外には考えられないというほどの意気込みでやって頂きました。まあ元々、高田監督のCM音楽などをやっている方なので、そういう面でも意思の疎通も世界観もわかっていましたね。

――原作者・羽海野(チカ)さんの映画を見た感想はどうでしたか。

最初に羽海野さんに言われたのは、原作を変えても良いけど、映画としてちゃんとしたものを作って欲しいというリクエストでした。でもそれが一番難しいんですよね。シナリオをはじめに見せた時、これはちょっと弱いんじゃないかと言われ、直していったりしましたが、ご本人がシナリオに手を加えることはありませんでした。自分の作品が映画化されるのは初めてなわけですから、どうなるんだろうという思いだったようで、目の当たりにして物凄く喜んでくれました。


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