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【Vol.65】ショウゲートに勢い、上げ潮に乗ったか

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.65】ショウゲートに勢い、上げ潮に乗ったか

2016年02月08日
 ショウゲートの映画配給チームが、波に乗ってきた感がある。昨年11月公開の2作品がヒットし、今年は1月末公開のドキュメンタリーが単館公開ながら好スタートを切った。

 ショウゲートという会社は、いまは存在しない。昨年10月1日付でショウゲートは、親会社である博報堂DYメディアパートナーズのエンタテインメントビジネス局を統合し、博報堂DYミュージック&ピクチャーズに社名変更をした。ショウゲートという名称は映像事業展開におけるブランドとして継続。配給会社の表記としても従来どおり「ショウゲート」が使用されている。

 『ガールズ&パンツァー 劇場版』と『レインツリーの国』の2作品が11月21日に公開された時、驚きの声が上がったものだ。この2作品が週末興行ランキングで1位、2位を独占。ライバルが少なかったとはいえ、同社史上初の快挙だった。

 両作品の稼ぎで、11月と12月はともに興収6億円以上をあげ、2015年1~12月累計興収は33億9千万円。東芝から博報堂DYメディアパートナーズ傘下に変わり、2007年6月にショウゲートが発足されて以来の最高興収となった。興収を毎月発表する主要配給13社での順位をみると、過去3年は12位か13位だったが、2015年は10位に上昇。10~13位までは30億円台の前半で拮抗しているのだが、やはり順位が上がることは関係者にとって嬉しいことだろう。

 1月30日公開の『ロパートキナ 孤高の白鳥』は、Bunkamuraル・シネマ単館で出足好調。土日で満席が続出、平日も満席回が出た。

 同じく1月30日には、先の『ガールズ&パンツァー』が興収10億円の大台を突破。アミューズピクチャーズや東芝エンタテインメントの時代は別にして、興収10億円突破はショウゲートとして初めてのことだった。上映館数はこの時点でも123館と少なく、約50館でこれから上映が始まる。うち30館が4DXで上映されるなど話題は尽きず、あと数億円は興収が積み上がりそうだ。

 とても興味深いと思うのが、『ガールズ&パンツァー』『レインツリーの国』『ロパートキナ』と全くタイプの異なる作品が当たったという事実。宣伝と営業、いわゆる配給の力が高まってきたのかもしれない(『ガールズ&パンツァー』は営業のみ)。配給会社は1本、2本と当てると、ヒットが続いて、好循環に入っていくことがよくある。

 今年から宣伝の新メンバーも加わった。2016年のショウゲートに、さらに面白い存在になってほしいと期待している。




松本 貴則(まつもと・たかのり) 月刊文化通信ジャーナル編集長 兼 映画部デスク

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げる。2011年から映画部デスク。2014年から月刊文化通信ジャーナル編集長を兼務。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。




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