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ヒット曲のない時代の「紅白」

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ヒット曲のない時代の「紅白」

2012年12月20日

 「第63回NHK紅白歌合戦」の出場歌手の曲目がNHKから発表された。

 1年に1度の大みそかの“お祭り番組”“国民的歌謡番組”って言ってしまえば、なるほど…とも思えなくもないが、ここ数年というもの「曲目発表」とは言うものの一体、何を歌うのかサッパリ分からない。

 例えば、今年はこうだ。

 まずは「紅組」である。AKB48「AKB48 紅白2012 SP~第2章~」、きゃりーぱみゅぱみゅ「紅白2012 きゃりーぱみゅぱみゅメドレー」、、浜崎あゆみ「2012 A SPECIALメドレー」、ももいろクローバーZ「ももいろ紅白だZ!!」

 「白組」も負けてはいない。嵐は「New Year’s Eve Medley 2012」、NYC「NYC紅白メドレー」、関ジャニ∞「初紅白!! 全力前進ジャジャジャジャーン!!!」、SMAP「SMAP2012 SP」、。白組は、ジャニーズが多いのだが、これじゃ「曲目発表」にならない。確かに、「2012メドレー」と言われれば今年、リリースした作品を歌うのだろう。そういった意味じゃ“ベスト・アルバム”的な感じもしないわけじゃない。1年を振り返る「紅白」としての理屈は通るのかもしれないが…。

 だけど、AKB48「AKB48 紅白2012 SP~第2章~」って、第1章は何だったのか?それに、ももいろクローバーZの「ももいろ紅白だZ!!」って、そんな曲目あったのか?関ジャニ∞の「初紅白!! 全力前進ジャジャジャジャーン!!!」も意味が分からない…。確かに、「紅白」という大舞台で歌うだけに“スペシャル感”があっていいかもしれない。が、曲目を見て「おや!?」と思ったのは、「紅白」で歌って、翌年のCDセールスに結び付けよう…という思惑が減少してきたような…。

 特に演歌。石川さゆり「天城越え」、坂本冬美「夜桜お七」、北島三郎「風雪ながれ旅」、細川たかし「浪花節だよ人生は」、森進一「冬のリヴィエラ」。演歌以外も石原裕次郎の作品を歌うために出場したとはいえ舘ひろしは「嵐を呼ぶ男」、徳永英明は昨年、松田聖子親子が歌った「上を向いて歩こう」。

 ま、選曲は思惑がない方がいいのだが、この曲目を見る限り、今年の「紅白」のポイントはピンボケといったところ。正直言って拘りも何も感じない。

 かつては、「紅白」出場となったら、それはそれは大騒ぎで、当然、歌う曲はアーティストはもちろん、所属事務所、レコード会社、そしてNHK…それぞれに思惑があった。出場が決まったのに、「新曲を歌わせてくれない」とワガママを言って、本番直前に出場を辞退したロックバンドもいたほどだ。ベルリンから生中継した長渕剛は3曲も歌い、約20分間も電波ジャックした。みんな「紅白」を“チャンス到来”と位置付けていた。

 もちろん、そういった思いは、いくら時代が変わったとはいえ、今も同じだとは思うが、では一体、何が変わったのか? おそらくヒット曲がなくなったからだろう。要は「今年の代表曲」がないから1曲に絞れずメドレーで誤魔化すようになる。今年の代表曲がないから「名曲」を歌う…。そういった意味では苦肉の策かもしれないが、音楽業界は笑ってはいられない。出来ることなら「紅白」の選曲から「メドレー」や「名曲」を少なくさせる努力を…来年はそうありたいと思うのだが、果たして…。

(渡邉裕二)

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