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TVドラマに映画監督が参戦!!

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TVドラマに映画監督が参戦!!

2012年10月15日

 この10月期連続ドラマで、映画監督参戦の作品が話題となっている。フジテレビ系列・関西テレビ制作「ゴーイング マイ ホーム」(火22時)とTBS「イロドリヒムラ」(月深夜24時20分)だ。

 「ゴーイング マイ ホーム」は、映画「誰も知らない」など数々の映画賞を獲得した是枝裕和監督が全話監督・脚本を担当するというからとりわけ注目を浴びている。ドラマは映画と同じような手法で制作しているという。初回は10月9日、2時間スペシャルでスタートした。はじめの数十分はやはり違和感を覚えただろう。通常のTVドラマの作りではないと誰もがわかる。セリフやシーンの間が違う。派手な音楽の効果音もない。誰もが知る作品で言えば、伊丹十三監督作「お葬式」を思わせるようなテイスト。特に病院と家族が描かれる出だしはそんな空気を見せる。それとは知らずに見た人、あるいはTVドラマを見慣れた人にはこの最初の30分ほどで離れてしまうのではないかとさえ感じる。だが、これが次第に惹き込まれるのだ。

 物語は、CM制作会社の中年プロデューサー(阿部寛)の、故郷・長野にいる父親(夏八木勲)が倒れたことから始まるホームドラマ。ちょっとコミカルながらもドキリとするセリフや展開、さらに不思議さを加味して、今までにないようなホームドラマを作り上げている。妻(山口智子)と小学生の娘(蒔田彩珠)。長野の母親(吉行和子)。姉(YOU)、姉の夫(安田顕)。そして謎の美女(宮崎あおい)、その美女の父親(?)西田敏行。さらに新井浩文、バカリズム。それぞれのキャラクターが上手くに描かれる。とくに小学生の娘は一見普通ながらも何やら気になる存在感を持つ演出で、「世界は目に見えているものだけで出来ているわけではない」と言わせてハッ!とさせられたり、「クーナ」という小人(こびと)の存在まで物語に登場させたりと、そのツボに次第にハマっていくことになる。クスリと笑わせるシーンも隋所に散りばめられ、見ていくうちに思わず笑ってしまうようになる。

 これは近年のTVドラマを廃した、新たなTVドラマの挑戦と言えよう。派手なアクションで映画に近づけようというものとは全く違う。大胆に奇をてらうでもなく、淡々と丁寧に描く。映画テイストを取り入れた画期的かつ斬新な試みだ。初回視聴率は13%(VR・関東地区)だった。2時間番組としてはかなりの高数字、手応え十分な出だしとなった。質にこだわった、大人が見るドラマとして今後の展開が楽しみだ。

 一方、TBS「イロドリヒムラ」は、連続ドラマ初主演となる、お笑いコンビ・バナナマンの日村勇紀を主人公に、オムニバス形式で繰り広げるちょっと風変わりなドラマ。これを毎回変わって著名映画監督が演出するというもの。監督だけでなく、脚本家も共演の女優も毎回変わるという企画。その注目の監督の顔ぶれを紹介しよう。現在決定している監督と脚本家は以下のとおり。

第1話 監督:堤幸彦(「20世紀少年」「劇場版SPEC~天~」)、脚本:北川悦吏子
第2話 監督・脚本:飯塚健(「荒川アンダーザブリッジ THE MOVIE」「彩恋 SAI-REN」)
第3話 監督:森義隆(「宇宙兄弟」「ひゃくはち」)、脚本:一雫ライオン
第4話 監督:三木孝浩(「ソラニン」「僕等がいた」前篇、後篇)、脚本:持地佑季子
第5話 監督:白石達也(初監督)、脚本:牧野圭祐
第6話 監督・脚本:深川栄洋(「ガール」「神様のカルテ」)
第7話 監督:犬童一心(「のぼうの城」「ゼロの焦点」)、脚本:今泉力哉
第8話 監督:中村義洋(「ゴールデンスランバー」「映画 怪物くん」)、脚本:鈴木謙一
第9話 監督・脚本:沖田修一(「南極料理人」「キツツキと雨」)
第10話 未定

 共演の女優は、第1話剛力彩芽、第2話酒井若菜。毎回ラブストーリーが展開されると見られるが、見どころの一つは日村の髪形(?)。ストーリーが紹介されている第1話、第2話ともそれぞれ髪形が違う。役柄も違うので、監督の指定で髪形が変わり、第3話以降もそうなる気配。あのマシュルームカットはコンビ結成以来20年間変えていないらしく、このドラマで日村の新たな一面が、著名監督それぞれの演出で楽しめそうだ。現在、地方での7局(岩手放送、北陸放送、静岡放送、中部日本放送、毎日放送、山陽放送、北海道放送/開始日・時間異なる)が決定している。TBSでの放送は本日10月15日よりスタートする。

(戎 正治)

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