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68歳になってもチャレンジ精神は劣らず…ミック・ジャガー

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68歳になってもチャレンジ精神は劣らず…ミック・ジャガー

2011年09月14日

 ミック・ジャガーにインタビュー出来るということで英ロンドンに行った。

 ミック・ジャガーは現在68歳。まさに “古希” も間近な年齢だが、未だにバリバリの現役ロッカーとして精力的な活動を続けている。大したものである。

 そのミック・ジャガーが、何と68歳にして新しいロック・グループを結成したのだ。 “スーパーへヴィ” というグループがそれだが、50年にも及ぶ音楽活動の中で、ストーンズ以外のグループを結成するのは初めてだと言う。まさに音楽活動に年齢は関係ないことを改めて実感させられる。

 ミックが結成した “スーパーへヴィ” は、ミックと80年代のUKポップ・シーンを一世風靡したユーリズミックスの元メンバーだったデイヴ・スチュワートが中心となっている。もちろん、結成の発案者はミックである。

 それはミックがジャマイカにあるテイヴの家に招かれた時、音の世界について語り合ったことから始まったという。あらゆるジャンルの音楽を背景とした未知の世界…。話は盛り上がり、その音楽を実現させるために各ジャンルの代表となる格のある本格的なアーティストを集めようという話になったというのだ。

 そこで、まず、UKの23歳の女性ソウル・シンガー、ジョス・ストーンに声をかけた。彼女とは04年に映画「アルフィー」のサウンドトラックで共演していて、「まず一番最初に思いついた」とミックとデイヴは言う。次に声をかけたのは故ボブ・マーリーの7男でレゲエDJのダミアン・マーリー。彼は33歳だ。以前からジャマイカ文化の虜だったというミックとデイヴ。いくつものレゲエ・トラックを聴きまくった末、最終的にミックが「ファンの1人だった」というダミアンに白羽の矢が立った。そして、最後に参加したのが45歳のA.R.ラフマーン。彼は、映画「スラムドッグ$ミリオネア」でオスカーを受賞し脚光を浴びたインド映画音楽界の巨匠だ。その功績がキッカケとなり、米ロサンゼルスでミックとデイヴと接点を持ったという。因みに、日本でラフマーンは、映画「ムトゥ~踊るマハラジャ」の大ヒットでお馴染み。「ラフマーンの圧倒的なスケール感が包み込み、これまでにないアルバムに仕上がった」とミックは語っていた。

 いずれにしても、何が凄いかって、このバンド、68歳のミックと59歳のデイヴを加えたら、メンバーは20代、30代、40代、50代、60代と全ての世代に渡っているということだ。これって偶然?

 「僕は世代については全然意識していなかった。音楽ってどれも世代に単純にむすびつけられないと思う。例えばジョスは20代だけれど、歌のスタイルは60年代のソウルのスタイル…。最年少なのにね。彼女は現在のスタイルで歌わない、というか時代を超えたスタイルで。僕だって同じだ。ダミアンのスタイルは40年前からあるスタイルと言えるかな…。デイヴはクラッシックなロック&ポップのスタイルで。誰のスタイルも特定の時代にとらわれていない」。

 ミックは「音楽に世代なんてない。世代なんて超えた中で存在する」と言い切る。そして、この “スーパーヘヴィ” についても「音の理想郷とでも言うのか、これまでにない音楽の世界を語り合っていく中で始まったバンド」と説明していた。

 とは言っても今後の活動については、9月21日に発売されるアルバム「スーパーヘヴィ」の反応次第だとミック。しかし、ミックは仕上がりには自信たっぷりで「音楽業界に革命をもたらしたい」と言い切っていた。

 しかし、出来上がったCDを見た時は「CDなんて見るのは、もしかして、これが最後かもしれないな…」なんて思わず呟く場面も…。今や、音楽はデジタル配信の時代。いくら「ユーザーの反応」と言ってもデジタル配信では、形のあるCDに比べて実感しにくい部分もある。ミックにとっては複雑な心境だったに違いない。それでも

 「若い連中には、まだまだ負けちゃいられない」。

 ミックからは気合とオーラが出ていた。背筋をピンと伸ばし、最後に交わした握手も力強い。その存在感は言うまでもないが、さすが英国の生んだ最高のパフォーマーと言われるだけある…。

(渡邉裕二)

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