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「はだしのゲンが見たヒロシマ」完成試写

【FREE】「はだしのゲンが見たヒロシマ」完成試写

2011年07月02日
左が中沢氏、右が石田監督 左が中沢氏、右が石田監督

 反戦漫画「はだしのゲン」の作者・中沢啓治を追ったドキュメンタリー「はだしのゲンが見たヒロシマ」(製作・配給:シグロ+トモコーポレーション)の完成試写会と会見が6月30日、東京・渋谷の映画美学校で行われ、出演した中沢と石田優子監督が出席した。

 本作は、現在72歳となった中沢の言葉から、忘れてはならない戦争と原爆の姿を見つめる(77分)。中沢は、6歳のときに広島で被爆、自身は奇跡的に助かったものの家族を失った。漫画家になり原爆をテーマにした作品を発表、73年に少年ジャンプ(集英社)で伝説の「はだしのゲン」を生みだし、自らの体験を主人公・ゲンに託した。同漫画は、3度の中断と複数の出版社を経て87年に第1部全10巻が完結。視力の低下から現在は執筆を中断しているが、第2部の構想もあるという。

 映画では、中沢自身が被写体となり、これまでの生い立ちや漫画に込めた思いなど語る。広島市内の思い出の土地をめぐり、貴重な漫画原画なども紹介。平和の尊さを訴える。石田優子監督は、78年東京生まれ。映画美学校で故佐藤真監督に師事しドキュメンタリーを学び、同校卒業後はシグロの社員として多数の映画にスタッフとして参加してきた。本作が初監督作となる。

 広島生まれで平和教育活動に尽力する渡部朋子(NPO法人 ANT‐Hiroshima理事長)が作品を企画し、聞き手も務めた。製作は山上徹二郎と渡部久仁子、撮影は大津幸四郎、編集は大重裕二、整音は小川武、音楽は小川洋。7月30日(土)より広島で先行公開され、広島原爆忌の8月6日(土)よりオーディトリウム渋谷ほかで全国順次公開される。できるだけ多くの人に見て欲しいという思いから、劇場公開に合わせてDVDが紀伊国屋書店から発売される。

中沢啓治 この映画を見てくれた人が、少しでも戦争や核のない世界を目指そうという方向に進んでくれたら、被写体になった意義がある。絵ではなく自分の体で反戦を表現することができて嬉しい。若い世代に見てもらいたい。

石田監督 若い女性監督に協力していただいた中沢先生と奥様に感謝したい。私は小学生の頃に「はだしのゲン」を知ったが、当時はあまりの描写にショックを受け、簡単には読んではいけないものだという印象すらあった。この映画が、皆さんにとって改めて「~ゲン」を読むきっかけになればと願っています。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。