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「第64回カンヌ国際映画祭2011」レポート(6)

【FREE】「第64回カンヌ国際映画祭2011」レポート(6)

2011年05月21日
「一命」の三池監督、瑛太 「一命」の三池監督、瑛太

【カンヌ5月19日=映画ライター・岡田光由】

 18日の「朱花の月」に続いて5月19日、コンペティション部門にエントリーされた日本映画2本目である三池崇史監督作「一命」が正式上映された。「IZO」(04)や「十三人の刺客」(10)ですでに欧米で人気の高い三池監督の最新作とあって、ここカンヌでも話題で、上映後のスタンディングオーベーションが5分以上も続いた。

 上映前に行なわれた記者会見には、やはり市川海老蔵は現れなかったが、瑛太と脚本家・山岸きくみ、それに大プロデューサーのジェレミー・トーマスと一緒に臨んだ三池監督は、まず海老蔵のトラブルに触れ、「別に公開を中止しようとは全然思わなかった。監督が必要なのは魅力的な仕事をしてくれる俳優だ。私生活のトラブルと役者の力は別。これを観れば海老蔵の素晴らしさがわかるでしょう」と話した。また瑛太の起用については「彼のナイーブさを買った。しかも自分が持っているものとは違う感性表現をしてくれる。形で演技を作る海老蔵とのぶつかり合いが見ものでもある」と。

 その瑛太は「時代劇は所作や史実を守りながら少しだけハミ出す演技をする。ここでは血迷ったというのがキーワードで、人間が家族のため命を捨てられるかを常に考えつつやった。三池監督作品を観て、きっと緊張感のある現場だろうと思っていたら、監督自身がユーモアやギャグを交えながら話しかけてきてくれた。でも自分がどんなものを出させるか、現場ではいつも緊張していた」と告白する。そして3Dの起用について三池監督は「日本家屋の狭い空間や奥行きをうまく出し、理解してもらうように」と語り、「3Dは夢が飛び出してくるから、将来は飛び出してはいけないものが全部飛び出す3D映画を作りたい」と一同を笑わせた。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。