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『ファントム~』町山“攻略ゲームのよう”

【FREE】『ファントム~』町山“攻略ゲームのよう”

2018年05月12日
 ビターズ・エンド=パルコ配給のユニバーサル映画『ファントム・スレッド』のプレミア上映が10日、YEBISU GARDEN CINEMAで行われ、上映後のトークイベントに映画評論家の町山智浩が登壇した。

 同作は、ポール・トーマス・アンダーソン監督×ダニエル・デイ=ルイス主演。1950年代ロンドンを舞台に英国ファッションの中心的存在として社交界から脚光を浴びる男レイノルズと、彼の前に突如姿を現した女アルマが織りなす究極の愛の形に肉薄した一本。

  “映画の悦びのすべてがここにある” と以前より同作を大絶賛している町山が当日、現地で監督に直接インタビューした映像を流すなど、贅沢なトークショーとなった。

 このインタビュー映像の中で、同作を撮るキッカケについて監督は「インフルエンザにかかって寝込んでいる時にいくつものゴシックロマンス映画を観た。ヒッチコックの『レベッカ』やジャン・コクトーの『美女と野獣』、トリュフォーの『アデルの恋の物語』などをね。どれも登場する素晴らしい女性たちが、威圧的な男性社会の中でたくましく生き抜いていく。それが自分の中に響いたんだ」と創作の発端を明かす。

 劇中、レイノルズはアルマの完璧な身体を愛し、彼女をモデルに昼夜問わず憑りつかれたようにドレスを作る。しかし、アルマの気持ちを無視する無神経なレイノルズに不満を募らせた彼女は、ある日朝食に微量の毒を盛り込む。この関係性について町山は「観てもらえれば分かると思うが、監督は本当に世界の男女関係の普遍的な愛を描いている」とし、「男の人はゾッとするかもしれないが、監督も言っている通り、女の人の方が利口だし、そうなると男は負けるしかない」と語る。さらに、「少しずつ堀を埋めて男という城を落としていく攻略ゲームのような映画」と評価した。

 5月26日よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館、6月9日よりヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開される。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。