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TAAF2018、長編グランプリは台湾作品

【FREE】TAAF2018、長編グランプリは台湾作品

2018年03月14日
 国際アニメーション映画祭「東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)2018」の授賞式が12日、メイン会場池袋にある豊島区役所で行われた。コンペティション部門における長編グランプリは台湾作品『オン ハピネス ロード』(監督:サン・シンイン)、短編グランプリはフランス作品『ネガティブ・スペース』(監督:マックス・ポーター、ル・クワハタ)に決定した。

 TAAFのコンペティション部門は、4項目に沿って作品を評価する。将来を予感させるものが見える「先進性」、独創的な表現がある「オリジナル性」、多くの人たちが共感できる要素がある「大衆性」、これがアニメーションだという確かな技術力が見える「技術性」。今年の応募作品数は長編14本、短編717本が集まり、長編4本、短編35本を4日間で上映した。

 長編グランプリに輝いた『オン ハピネス ロード』は、アメリカに渡り成功を収めたチーという台湾人女性が、祖母の死をきっかけに台湾に帰国し、幼き頃を振り返るというストーリー。授賞式でシンイン監督は、「狭い世界を描いているが、普遍的な愛をテーマに選んだ」とし、「TAAFで上映すると、多くの日本人が共感・感動してくれた。台湾ではまだまだアニメーション産業が成り立っていない。でも私は声を大きくして、『みんな!奇跡が起きたよ』と言いたい」と感涙をこらえながら、喜びを表現した。

 短編グランプリを獲得した『ネガティブ・スペース』も家族の物語。父と息子が一緒にスーツケースにモノを詰めていくことで展開される人間ドラマを5分30秒の短い尺で描き切った。父に認めてもらいたい、父を理解したいと願う子ども。パッキングをする2人の姿は、観客に対して、自らの親子関係を想起させる。授賞式でポーター監督は、「人生はすぐに過ぎて行くが、その間には色んなことが起きる。クライマックスで父が言う、『無駄なスペースが多すぎる』には、そうした意味がある」と作品に込めたテーマを語った。

 グランプリ2作品には、小池百合子東京都知事より、東京都知事賞も授与した。その他、長編優秀賞は中国作品『ハブ ア ナイス デイ』(監督:リュー・ジイェン)、短編優秀賞はベルギー作品『キャサリン』(監督:ブリット・ローズ)。また高野之夫豊島区長も登壇し、ロシア作品『ちゅんちゅん』(監督:ジャナ・ベクマンベトワ)に豊島区長賞を与えた。

 なおこの日は、アニメ功労部門、一般投票によるアニメオブザイヤー部門の授与も行った。

 TAAF2018は3月9~12日の4日間、池袋をメイン会場に開催された。主催は、東京アニメアワードフェスティバル実行委員会、一般社団法人日本動画協会。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。